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机にも棚にもなる家具
杉のCLT材で子供たちのための家具を作りました。
現在、私たちの2人の子供が4歳と2歳で、
・絵本やおもちゃを置くスペースがなくなってきた
・後々はそれぞれに学習スペースが必要
という理由で、これらの問題を解決できるような家具を作りたいと考えました。
また建築的な問題としては、
現在、私たちは賃貸マンションに入居しているのですが、木の風合いや、手触りを感じられるような箇所はありません。もちろん床がフローリングになっていたり、扉が木で作られていたりしますが、大抵、賃貸マンションでは汚れやクレームの問題から、表面に塗膜を作る強い塗装がかけられているのが通常で、木の触感を感じられることはありません。そこで、
・大きな木の家具を置くことによって、空間のイメージを変える
・国産の木材で、木の触感が感じられる家具を作る
ということをテーマに、検討を重ねました。
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杉のCLT材で作る
材料についても色々と検討し、子供用の家具のため無垢材を使いたい反面、無垢材はコストが高いことや反りなどの心配もあり、安価で扱いやすい合板の特徴を併せ持つCLT材というものを採用しました。CLT材はひき板と呼ばれる10mm〜20mm程度の木材を薄く切った板を繊維方向が層ごとに直角に交わるように貼り合わせた、大判の木質パネル建材です。元々は建材として利用されていることが多く、杉か檜が流通していますが、今回は安価で手に入る杉のCLT材を使って家具を作ることにしました。
家具にはあまり使われてこなかった杉材
日本の国土面積の3分の2は森林ですが、その4割は戦後すぐに農林水産省が植林事業として推進した杉や檜などの人工林で占められています。特にスギは成長が早く、40年程度で成木となり、伐採適齢期を迎えるとされているのですが、伐採しても格安の輸入材木に勝てないために、伐採されずに残っており問題とされています。採算割れから手入れが行き届いていない杉林が多く、そうした杉が、台風や大雨などの際には流木となって甚大な被害を出す原因になっています。
一方、建材や家具材としては、杉はあばれが大きい割に柔らかく、使いずらいためにあまり使われてこなかった材料ですが、ひき板と言われる薄板の繊維方向が層ごとに直行するように重ねて接着しパネルを作ることにより、強度を安定させ、これらの問題を解決したCLT材というものを用いを家具を作ることで、日本の森林や林業を守ることに寄与することを意図しています。
コンピューター加工と、組み立て式にする事によりコストを抑える
CLT材を、CNC加工というコンピューター上で数字入力したデータを機械加工する技術によって切り出し、スイス製の特殊な金物を使うことで容易に組み立てができるような仕組みとしました。
そのことにより、人件費や配送費、組立費のコストが削減でき、制作家具として家具屋さんで作るかなりコストが抑えられます。
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制作最大幅の1810mm幅で、かつ家具材としては厚みのある30mmの板を使って製作をしているので、とても存在感があり、木の風合いを感じられる家具となりました。